典型的な他動詞文 (他動詞を述語とし,主語と目的語をもつ文) のいちばん自然な語順のことを,その言語の基本語順という。フィンランド語の場合,例文 (1) が示すように,主語 (S) + 動詞 (V) + 目的語 (O) が他動詞文のふつうの語順であり,基本語順はSVOであると言われる。これに対して,日本語は 「主語 + 目的語 + 動詞」 というのがふつうの語順だから,SOVが基本語順と言うことになる。
(1) | a. | Pekka | osta-a | kirja-n. | [対格目的語] |
ペッカが | 買う | 本を | |||
「ペッカは本を買う」 | |||||
b. | Pekka | rakasta-a | Liisa-a. | [分格目的語] | |
ペッカが | 愛する | リーサを | |||
「ペッカはリーサを愛している」 |
なお,例文 (2) が示すように,自動詞文の副詞的成分も,動詞に対して目的語と同じ相対的位置に現れることが多い。
(2) | a. | Pekka | lähte-e | kaupunki-in. | |
ペッカが | 出かける | 町へ | |||
「ペッカは町に出かける」 | |||||
b. | Pekka | tule-e | huomenna. | ||
ペッカが | 来る | 明日 | |||
「ペッカは明日やってくる」 |