ま え が き

CD 版

ムーミン,サウナ,キシリトール,ノキアの携帯電話,アキ・カウリスマキの映画,それとも,先頃引退したF1レーサーのミカ・ハッキネン? フィンランドと聞いて,あなたが最初に連想するのは何でしょうか?

この本の初版が出た1986年当時と比べると,日本人にとってフィンランドはずいぶんと身近な国になりました。とくに,インターネットが普及して,日本にいながらにして,ほとんどお金をかけずに,フィンランド人と情報交換ができる時代になったのは大きな変化です。

この本を手にしたあなたも,きっとフィンランド人の友人や恋人ができたり,最近フィンランド旅行をして熱狂的なフィンランド・ファンになったりしたことが動機になって,フィンランド語を勉強しようと思い立ったひとりではないでしょうか。

フィンランド語は,お隣のスウェーデン語やロシア語とは,文法がほとんど似ていない上,初級の学習者に使える手頃な辞書がありません。そのため,フィンランドやフィンランド人に興味はあっても,フィンランド語と聞くと「ちょっとねえ」と二の足を踏む人が少なくないようです。この本は,そういう人たちに「フィンランド語は怖くない」と納得していただくために書いたものです。

本書の初版の原稿を書いたときにお世話になった友人・知人たち (Eino Koponen, 桑原恭子,Päivi Raino, Mervi Suhonen) と,音声教材作成に協力してくださった Ville Saarikoski と Pirjo Härkönen のおふたりに,引き続き感謝のことばを捧げます。

最後になってしまいましたが,本書を書くことを私に薦めてくださった千野栄一先生が今年の春に他界され,CD版の出版のお礼を直接お伝えできなくなってしまったことをたいへん残念に思います。

2002年 夏著者
更新日:2003/11/16